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湘菜3日め。





26日は金曜日。思うに湘菜というのは、煮物など基本的に淡白で素材の味を生かし、出汁は豚、牛、山羊など獣肉を使っているのに薄味で、日本の煮物に似ているかんじがいたします。そこに唐辛子をたんと放り込んだ、っちゅう感じでしょうか。
さて金曜日の朝、広聖大酒店の朝食で麺台を見かけたので、拉麺を頼みました。ひとくち食べて、どんなふうに形容しようかとしばらく考え、こういう表現に思い到りました:湖南人が拉麺に何を求めているのか、我が輩には全くわからん。
麺にまったくコシがなく、出汁にまったくうま味がありません。出汁は基本的に、黒ずんだ汁に酸菜を刻んでいれただけのものです。
前日に全工程をがんばって終えたので、湖南チームの粋な計らいでこの日は旅遊。68kmはなれた韶山、毛沢東の生家へ。このあたりの村では、「毛姓でなければ楽な暮らしができないので、子供を毛姓の家に里子に出す人も多い。」というくらいで、ざっと8割がたの店が「毛」を名乗っています。なにかあるたびに「われわれの同志毛沢東」と連呼する、若いのに地味な感じのガイド嬢の案内を聞きつつ、毛沢東故居を拝観。
ちなみに中国語で「我々」というのは2種類あって、聞く人を含める我々と、聞く人を含めない我々があります。地味なガイド嬢はことごとく前者の我々を使いました。
さらに江沢民時代につくられた毛主席の銅像を拝観。ちょうど献花式をやっていたので、「東方紅」のBGMつきで、いい動画が撮れました。我が輩もコニシシも、紅旗の前でポーズを決め、記念撮影をし、毛沢東の本やらTシャツを買い求め、池のほとりの物売りのおばちゃんから毛沢東の胸像と立像を、革命的ペンダントのオマケ付きで20元で買いました。最後に「為人民服務」のズックバッグが欲しかったのですが、値引き交渉が決裂してギヴアップ。
お昼は毛姓飯店で家常菜。「江沢民、胡錦濤もオラっちで飯喰ったっぺ。」というキャッチフレーズです。桶にやまもりの白ご飯。唐辛子と搾菜を刻んで炒めたものを田麩みたいにご飯にまぶしたら、食がすすみます。そしてまた酒鬼。
午後は長沙にかえり、古長沙街を散策。睡蓮の実を齧りながら街路を歩いていると、王さんが臭豆腐を見つけたので、みんなで賞味。ここらへんの臭豆腐は、まっくろです。湖南省チームのみならず、山東省チームも口を揃えて曰く、「臭豆腐は長沙がオリジナル。」ちなみに味は、それほど臭くもなく、辛くもなく、見かけほど困難なシロモノではなく、どっちかというとニュートラルから旨いほうに微妙に傾いた感じです。
しかしそう思ったのは日本人チームでは我が輩だけのようであります。「一気喰いしたほうがよろし。」という我が輩の無責任なアドバイスに従ったコニシシは、臭豆腐を一気食いし、その臭みと唐辛子片が脳天を直撃したようです。気の毒なコニシシは、脳袋壊了(のうてんふぁいらー)という状態に陥ったまま、夕食に突入しました。
ちなみに我が輩が「なんでこのへんの臭豆腐は黒いのか?」と尋ねたところ、一同沈黙。しばらくして湖南チームのひとりが曰く、「このへんのざっかけな喰いものは、全部黒い。」考察が洞察力に富み、表現に説得力があったので、一同唸らされました。
夕食はホテルの2階のレストランで湘菜。この3日間ずっと湘菜でありながら、ひとつたりとも同じ料理が出てこなかったのはさすがです。この夜のハイライトは、油条。ちょっと甘いパン種を油であげただけのものですが、ここの名物は、「釣魚台国賓館で外国賓客をもてなすときに出される油条」だそうです。ずいぶんおおぶりの油条で、外側はぱりぱり、内側はほっこりというものですが、いくら逸物傑物でもしょせんはふつうの油条。しかし名物は名物らしく、接客係が「ただいまキッチンが込み合っておりまして、少々御待ちいただかなければなりません」というくらいでした。酒は酒鬼。

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