土曜日。朝から師匠の田んぼで田植え。お昼は本部で納豆飯、鯖焼き、大根煮などなど。夕刻7時半すぎ、おおいに疲れて帰宅。まぐろの叩きの海苔巻き。ふきと薄揚げ煮。豚肉と厚揚げ煮。きゅうり生姜和え。 コメについて考えた。我が輩はワインの違いをわかるほどにコメの違いをわかっていない。農協マーケットでは10キロ2500円くらいからコメを売っている。化学肥料も、除草剤(という名の毒薬)も農協のいいなりになって、農協が組んだローンで農業機械を買うような農家は、農協にキロ当たり200円でコメを売る。 稲作で農家は喰っていけない。そして我が輩をふくめ多くの日本人は、10キロ2500円のコメと師匠のコメの味の違いがわからない。 師匠は田んぼに味噌汁を撒き、刈った雑草を投入し、魚粉を好気性菌で発酵させたアミノ酸肥料に乳酸菌やミネラルを入れて撒き、稲と対話しつつ完全無農薬有機栽培でコメをつくる。我が輩は師匠のところで農業を学びはじめて、コメの値段はそれでいいのだろうかと真剣に思うようになった。 自販機で売っている果糖と香料のはいったソーダは160円である。ミネラルウォーターは110円である。スタバのコーヒーはグランデで380円とかである。ガソリンは1リットル130円くらいである。コンビニ弁当はだいたい500円くらいである。そして我々はコメが1キロ250円くらいがふつうだと思っている。なにか腑に落ちない。 我々がわからないのはコメの味だけではない。 諏訪湖が汚れるのは農協のいいなりになっている農家が毒を撒くことと、ゴルフ場の除草剤で微生物が死んでしまうからである。師匠は諏訪湖の浄化にも真剣に取り組んでいるが、行政サイドは誰も儲からない話に興味を示さない。 農業はクリエーティブな作業だが、体力を使い切った頃にトラブルシューティングがはじまる。軍隊の特殊部隊は10キロ走ってから腕立て腹筋・懸垂し、塹壕飛び越えとかよじ登りをやってから狙撃をするらしい。ま、そこまでとは言わんけど似たようなところがある。もちろんそれは農協のいいなりにならない農民の話なのだが。しかしそこまでやってもキャッシュ収入にならず、自分で努力して市場を開拓し、一所懸命に売らなければ「喰えない」のがふつうだと師匠は言う。 写真は田植え機の模範操作をデモンストレーションする師匠である。