土曜日。朝一番で白小豆のあんころ炊き。木曜日の夜に水漬けして金曜日の夜に豆を煮て、朝まで蒸らしたというスケジュール。ふつうの小豆餡と白小豆の餡は味も風味もあまり変わらないけれど、見た目がちがうので材料が同じでもいろんなスタイルに活用できるので重宝している。このへんではなぜなのか、値段は白小豆のほうが安い。 午前中に内儀とBBが大家さんとこの庭の草刈り。おじさんが79歳で死んだのを信毎新聞で知ったので、遺徳を偲びつつ。お昼は醤油ぶっかけたまごうどん。午後に下諏訪の新鶴を探訪。諏訪の人々が御使いものにするのがここの塩羊羹だそうな。いちばん有名なのは塩羊羹だけれど、ほんとうは生菓子が真髄だと思う。おそらく茶道とか華道のお師匠さんたちがここの職人さんたちと話しながら作るんだろう。我が輩の敬愛する祖父・佐善さんがやっていたように。 それから坂道をくだってますや菓子店。新鶴は高級和菓子の老舗だけれど、こちらはいたって庶民的な昔ながらのお菓子屋さん。ここで我々のおやつにする柏餅、大福、みたらしだんごを購入。 ますや菓子店みたいに老夫婦でほそぼそとやっている店が生き残っているのはなぜかというと、下諏訪の人々がそういうライフスタイルを大切にしているからだと思う。 こないだ通勤途上、いつものように下諏訪の駅から工場まで歩いていたらおばちゃんふたりが出会ってこんな会話をしていた。 「奥さん、お豆腐?」 「そう、お豆腐。」 そういえば我が輩が幼少のころの今津でも、主婦は朝早くに鍋をもって近所の豆腐屋に豆腐やら油揚げを買いに行っていた。多くの家庭がそういう日課なので、豆腐屋さんは夜中に起きて豆腐をつくることにきまっていた。下諏訪はそういう風習をまもる家庭と、そういう家庭を守る主婦と、そういう豆腐屋やらお菓子屋やら八百屋やら荒物屋やら酒屋やら風呂屋が生き残っている。冠婚葬祭の御使いものは新鶴で買い、酒は御湖鶴を飲む。御湖鶴は工場で小売をしていないので、町内に何件かある酒屋で買うことになっている。蔵元と酒屋が共存しているんだな。 茅野でじゅんこと合流してチモトさんのところでコーヒー豆を購入して帰宅。