朝はホテルですいか、コーヒー、肉包子、菜包子、やきそば、お粥などをすこしずつ食べました。お粥には腐乳と皮蛋を入れて食べましたが、とてもおいしいものでした。腐乳というのは、沖縄料理にも「とうふよう」という名前でありますが、硬い豆腐を発行させた美味の食品です。
午前中に田んぼのなかの工場でかなり煮詰まったセッションを行い、お昼になりましたので、その村の海鮮料理屋に行きました。このあたりは杭州湾に面している湿地帯で、クリークが縦横に走っています。報道などで見られる虹色の川はなく、クリークはどれも健全な泥色をしていて、田螺や蛙や泥鰌がたくさん住んでいて活発に活動していそうです。塩辛い海があり、淡水の川があり、両方が交わる気水があり、泥があり、山もあり、田んぼもあります。とても豊穣で、人々もせかせかしたところがありません。
この料理屋では魅力的なものがいくつかありましたが、蛙とスッポンは同行したボスが「喰わん」と主張するのであきらめ、一見泥のかたまりのような、じつは微細な蝦が集まった味噌のような物体は、店のほうから「今日のはあんまり新鮮じゃないから」といわれてあきらめました。
店ではスプライトの大きなペットボトルにいれられたどぶろくをすすめられましたが、午後の仕事に差し支えそうな甘さなのでやめました。
夜はやはり工場関係者と慈渓市街地の中華。ここでは念願の3臭、すなわち臭豆腐、臭冬瓜、臭芥菜(寧波語ではんつぁい)に巡り会い、ボスは「俺は喰わん」といいましたが、「たまにしか来ない中国で3臭が揃うのは稀で、グルメたるもの匂いを嗅がないでおくと一生の恥ですよ」というと、遠くから匂いを嗅いでいました。臭豆腐は匂いのおだやかな厚揚げバージョンもあり、ボスはそれならとぱくぱく食べていました。スズキのような白身の魚は油葱仕立てにしてもらい、それ以外にもらっきょうのような玉葱とかいろいろなつけあわせがあり、白酒とともにおいしく頂きました。圧巻はこのあたりの名物、東玻肉でありまして、これは我が国では「豚の角煮」という名前で一般的ですが、どうやらこちらのものは蒸して脂を落としてから煮てあるらしく、濃厚かつ淡白な美味に唸ってしまいます。
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