いわく、「栗おこわに山菜煮物、むかごの胡桃味噌和え、お新香、味噌汁がセットされたヘルシーで精進風」の定食だそうです。醤油豆もついていました。金山寺味噌かと思ったのですが、金山寺ほどの甘さがない。お店の人によると、醤油豆だそうです。
栗おこわは標準で260グラム。我輩は標準。内儀は小盛りを頼みました。むかごというのは、山芋の根のふくらんだ部分のこと。季節になると、農協の地元農産物コーナーに並んでいたりしますが、旬が短すぎてあんまり出会えない。
胡桃味噌和えにしたむかごは、皮の部分に葡萄のようなフルーティーな香りがあって、不思議な感じがします。醤油豆とあわせて、日本酒とかフレッシュな白ワインに合いそうです。
松本には、もうすぐ日本を離れるリノくんのギフトを買いに行きました。おしゃれなものはやはり松本の仲町通り。ここには明治時代から4代続く漆器の店があって、木曽をはじめ飯田などから趣味のいいものを取り寄せています。
その近所にあるのが、家具職人のおやじさんのギャラリー。店はガラス食器とかアンティークの照明器具が中心ですが、本職は家具作りの大工さんなんだとか。ここではなこの好きそうなカップを購入。昔々のそのむかし、日本の瀬戸ものとかブリキおもちゃの輸出が盛んだったころアメリカや欧州に渡ったグッズが還流してきたものだそうです。我輩は低めのトーンが魅力的なドアベルを購入。おやじさんによると、どうやらインド産だそうです。
東のほうに5kmほど行くと、山辺の里。聖徳太子が創建したという兎川寺と、その向かいにある山辺小学校の旧校舎を見学しました。このへんは奈良の都と同じくらいの時期に同じくらいのペースで文明が発達したらしく、近在の美ヶ原温泉の名声は遠く奈良まで聞こえていたそうです。つまり、聖徳太子もこのへんの温泉のことを聞いていて、まったりしにきたんではないか。遠い道のり。当時は中央道も長野道もなく、中央線すらない。1泊2日で帰るというわけにもいかず、何泊か滞在したはずです。
「朕のために温泉旅館をつくれ」というと、まるで温泉に行きたいだけみたいなので、いやじつはそうなんだけど、太子という立場もあって、「寺をつくれ」ということになったんではないか。寺をつくったら、開眼法要などするため創建発案者としては出向かなければならない。遠路なので何泊かせざるを得ない。そしたら大臣たちが「太子、近在にいい温泉があるそうなので、いきまひょ。」ということになる。気が進まないような顔をしつつ、数珠などくりながら法華経を読みつつ、内心テンション爆上げで、「うむ」なんちゅうて温泉に出かける。葡萄の里なので、湯上がりに飲むワインもうまかろう、と。
そういうことなんじゃないかと思います。
山辺ワイナリーでシャルドネ2020年のシュール・リーを買いました。これは月花ワイン倶楽部の最初のワイン。月花ワイン倶楽部は、我々が「意識して」ワインを飲む会で、ちゃんと「意識して」飲むワインについて、これからきちんと記録を取っておくことにしました。
シュール・リーというのは白ワインの特別の製造法で、本来なら除去する澱をそのまんまにして、複雑な風味を醸すそうです。
ちなみに長野県で発見された善光寺葡萄は、遣唐使が大陸から持ってきた葡萄と同じ系統ながら、ルートが異なっていたことがDNA調査で判明しています。山辺の葡萄でワインが作られていて、温泉上がりの聖徳太子がそれを飲んだという我輩のフィクションも、あながち無茶な話ではないと思う次第であります。
ワイナリーの隣の道の駅で夏みかんを箱買い。帰宅して皮を剥いて煮沸してからホワイトリカーに漬けました。煮沸しても防カビ剤のワックスが浮かんでこなかった。素晴らしい。
コメント